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Longway 〜詩と物語
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ここに登場する作品の1つ1つが
楽しみの敷石となり
1本の長い道
”Longway”となれば
幸いです
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2012年5月

2012/05/20 08:43

初蝶やフルートの音に迷いこむ

みどり萌え窓に蒼き猫ねむる

春昼のライオン眠りパンケーキ




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ミーナ にじにのる

2012/05/07 16:52

ほら、あの木のてっぺんに、こねこのミーナがすわっています。
まっしろい毛が きらきらとひかっています。
ミーナは みずうみをみています。
あおく ふかい みずうみです。
みずうみのまんなかあたりに、ゴンドラがちいさくみえました。
ミーナは さっきから、にじのことを かんがえているのです。
「ねえ、にじにさわったら どんなかんじがするのかなー?」
でも、もちろん、へんじはきこえません。
ミーナが もっとじょうずに にじのことを おもいうかべようとしたとき、
コマドリがとんできて、えだのさきに とまりました。
「おやおや、なにをいったい、かんがえこんでいるの?」と、コマドリ。
にじにさわったこと、ある?」
「ありますとも、ありますとも」と、コマドリは むねをはりました。
「どんなかんじなの?」
「ふるえるように やさしいの。あたしのうたみたいにね」
ミーナは やさしいにじを おもいうかべました。
そのあいだに、コマドリは とんでいってしまいました。
ゴンドラが スーッと よこへ すべっていきました。

ミーナが いっしょうけんめいに、コマドリのうたのことを かんがえていると、
ざわざわと風がふいて 空がくらくなりました。
おおつぶのあめが パラパラとおちはじめました。
あめつぶが 1つ、ミーナのはなのあたまに のっかりました。
「なにを、むずかしいかお してるの?」
あめつぶが たずねました。
にじにさわったこと、ある?」
「そりゃあ、もう!」
「どんなかんじがするの?」
「かんぜんに すきとおっているのさ。ぼくみたいに」
ミーナは すきとおったにじを おもいうかべました。
そのあいだに、あめつぶは ミーナのはなから、
スルリとおちて いってしまいました。
ゴンドラは こんどは はんたいのほうへすすみました。

いつのまにか あめはやんで、
たかい空を くもがはやあしで、きそいあうように とんでいきます。
そのくもの ひとひらが、ミーナのみみに ささやきました。
「かんがえごとかね?」
にじにさわったこと、ある?」
「あるのないのって!」
「どんなかんじがするの?」
「うっとりするほど かろやかなかんじさ。わたしをみてごらん」
ミーナは かろやかなにじを おもいうかべました。
そのあいだに、くもは 風にのって とんでいきました。
ゴンドラは こちらへ むかってくるようでした。

ミーナは、コマドリのやさしいうたと、すきとおったあめつぶと、かろやかなくもを、
もういちど、かわるがわる かんがえて、
さいごに、にじを おもいうかべました。
「さっぱり、わからない」
ミーナは かんがえるのをやめて、木をおりました。
みずうみの きしにすわると、
ゴンドラは ちょうど ミーナのいるところに、カタンと へさきをつけたところでした。
あかいゴンドラから 手をふっているのは、くろねこのロングウエイです。
「やあ、ミーナ、なにしてるの?」
にじを おもいうかべてたの。でも、つかれちゃった。
そのゴンドラ どうしたの?」
「つくったんだよ。水にうかべてみたのさ」
そのときです。また、きゅうに、空が くらくなりました。
こまかい雨が さーさーと ふりはじめました。
「おやおや、またかい。きょうは よくふるな。
ミーナ、ゴンドラにのせてあげるよ。さあ、おいで」
ロングウエイは 手をのばして、ひょいと ミーナをゴンドラにのせました。

雨のなかを、ロングウエイが ゆったりと オールをうごかしました。
ぎっこん ぎっこんと、音がしました。
ゴンドラは ゆらりゆらり、ふかいみずうみのまんなかへ むかいました。
オールをうごかしながら ロングウエイは、
ゴンドラのつくりかたを はなしてくれました。
ミーナは にわにさいた タンポポのはなしをしました。
「ゴンドラもタンポポも たいしたものさ」
と、ロングウエイは おしまいに いいました。
みずうみのまんなかへ くると、ロングウエイは、
「ちょっと、ひとやすみだ」と、いって ひげをひねると、よこになって ねむりました。
ミーナは ゴンドラのへりから、みずうみの こまかい波を みつめました。
あめが さーさー ふりました。

ロングウエイは 「やれやれ」と いって おきあがると、あくびをしました。
すると、あめが やみました。
空がさーっと あかるくなって、おひさまが うたをうたいはじめます。
ラン ララララン。きんいろのひかりが あふれかえります。
「ミーナ、ちょっと、目をつむって、10かぞえてごらん」
ミーナは 目をつむりました。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!」
「よーし、いいぞ。うえをみあげてごらん」
ミーナが 空をみあげると、ゴンドラのうえたかく にじがかかっていました。
「わぁー! きれいだねぇ」
「きょうのは かくべつさ」
「まほうなの?」
「ちょっとした けいけんとコツだよ」
「にじにさわったこと、ある?」
「あるよ、もちろん」
「どんなかんじがするのかな?」
「じぶんで ためしてみなくちゃ わからないよ。
ためしてみるかね?」
「へぇーっ?」

ロングウエイは ちいさなはしごを とりだしました。
そのはしごを ゴンドラのまんなかに トンと たてると、
ピューッ!
くちぶえをならしました。
すると・・・はしごの のびること のびること。
スルスル ぐんぐん うえへのぼっていきます。
とうとう、サランと かるい音がして、にじのやまに ひっかかりました。
「そーら、のぼってごらん」
「たかいなぁ・・・」
にじにさわれるよ」
ミーナは はしごをしっかりと つかみました。
なんて たかいんでしょう。まるで 空にすいこまれるようです。
ミーナは いきおいよく ひょーいひょーいと のぼりはじめました。
のぼりながら うたをうたいました。
・・・にじは やさしい
   にじは すきとおる
   にじは かろやか
   ラララン ルルルン トゥルトゥルトゥルン!・・・
うたっているあいだに てっぺんまできました。
めのまえに にじがあります。
ミーナは にじに 手をのばしました。
いきをひそめて、そーっと・・・
あれ?おかしいな?
にじは どこー?
まるで なんにもないみたい。
みえるのに なんにもない。

「ねぇ、どうしてなの?」と、ミーナは にじに ききました。
でも、へんじはありません。
すこし かんがえてから、「あたし、目をつむることにしよう」と、にじに いいました。
ミーナは 目をつむりました。
こんどは、どうかなー?
すると ひょいと にじにまたがることができました。
ミーナは りょうてで にじを だきしめました。
にじは とーっても あたたかく・・・
みみもとで キンコン キンコン おとをたてていました。
はなさきに ふわりと いいかおりが ただよいました。
それは 7色のかおりでした。

「よく おぼえておいて」と、むらさきいろが ささやきました。
「わたしのかおりは よぞらのねむり」
「そして わたしのかおりは うみのなみだ」あおが いいました。
「もりのといきを わすれないで」と、いったのは みどりいろです。
「くさはらのうたは おすき?」と、きみどりが たずねれば、
「ほしのささやきを しっているでしょう?」と、きいろ。
「もちろん、ゆうやけのゆめもね」これは、オレンジです。
「わたしのかおりを しってる?」
あかが こうたずねたので、ミーナは
「おひさまのほほえみ?」
「そう、みんな よーくしってるわ」
それから、にじは しずまりかえりました。
ミーナは もういちど しっかりと にじを だきしめました。
にじに さわったよー!」

ミーナは ゆっくりと にじからおりました。
目をあけて パチパチさせました。
もういちど しっかりと はしごをつかむと、
ひらり ひらり おりていきました。
ロングウエイが こちらをみあげて、まっていました。
にじにさわったかい?」
「うん、さわった」
「どんなかんじだったかい?」
「うん、にじはねー、ふしぎなかおりがしてね、
おはなしもしたよ」
ミーナは クスクス わらいました。
ロングウエイは ひげを ピンと はじきました。

それから、ふたりは ゴンドラにねそべって、ひとねむりしました。
だんだん だんだん、にじが うすらいでいきました。
すっかり きえてしまうと、
はしごが スルスルと ちぢんで、
ゴンドラのなかに カタンとたおれました。











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2012年4月

2012/04/20 21:25

クモの巣の露ゆられおり主はなし

賢しやクリスマスローズもの思う

モクレンの南へそろう花弁かな

こぼれ落つ花房ささえる古き枝

ゴンドラの三日月へ飛ぶ春ゆうべ





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2012年3月

2012/03/18 22:15

やどり木を忘れて昇る夕雲雀

谷あいにすいこまれゆく春の夕

春光や像結ばずに透けてゆく




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2012年2月

2012/02/20 21:38

夕の月金柑の音に目を覚ます

星氷る絵本のクジラ泳ぎゆく

うぐいすの声を追いゆくピアノかな




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コーリーのしっぽ

2012/02/15 22:36

みかづきおつきさんの よるのことでした
コリコリ コーリーは ちっともねむれなくて
まどのそとを ながめていました
すると そらが うわんと ひとゆれして
ながーいしっぽが するすると おりてくるのです
なんて おかしなことかしら
コーリーは まどから そとへでました
しっぽを ひっぱると サササン サン とおおきなおとがします
「これは のぼってみなくちゃ!
なにかあるかもしれないぞ」
コーリーは しっぽをつかんで ヨイヨイ ヨイと
しっぽをのぼっていきました

おしまいまでのぼると しっぽのさきは
みかづきおつきさんの とんがりに むすんでありました
「おやおや コリコリ コーリー よくきたねぇ」と おつきさん
「あれ? おつきさんが こんなに ひくいところにいるよ」
おつきさんは キラリンと ひかりながら めをパタパタさせました
おつきさんは はしごをかついでいました
「ねぇ おつきさん そのはしごはなぁに?」
「のぼってみるかね?」
「なにかあるの?」
「さあ なにかな」

コーリーは はしごを タカトン タカトン のぼっていきました
すると・・・
おおきなくもが もくもくと かかっていました
くものなかから いちれつに
たくさんのしっぽが ぶらさがっていました
なんのしっぽか わかるのもあれば
わからないものもありました
よこっちょに ちいさなあかいドアがあって よびりんがついていました
コーリーが よびりんのひもを ひくと・・・
「おすきなしっぽを どうぞ!」と こえがしました
コーリーは しっぽを よーく みくらべました
そして そらいろの ほそくてながいしっぽが とってもきにいったので
ちょっと しっぽをひっぱりました

カンカラカンと おおきなおとがして・・・
そらいろのチーターが くものなかから あらわれました
チーターは ひとつ おおあくびをして
「どうして わたしをえらんだのかな?」
「ええっと・・・」
チーターは つまらなそうに くびをふると
「まあ せなかにのってもいいぜ」
コーリーは おそるおそる チーターのせなかに またがりました
「どこへいくかね?」
「うーんと・・・」
「なんだ なにもわからないんだな」
チーターは あかいドアを まえあしでけって おしあけると
さっと はしりだしました

フルフルハッハーと かぜがおとをたてました
コーリーのみみは ちぎれそう
まわりのけしきもなにも みえたものじゃありません
ながれぼしが いくつもいくつも
うしろへ うしろへと にげていきます
ながれぼしは ときどき チーターとコーリーに ぶつかると
はじけて きえていきました
コーリーは むねがドックドックしました

チーターが とつぜん はしるのをやめたので
コーリーは まえへ つんのめるところでした
めのまえに もくもくとした くもがありました
やっぱり しっぽが いちれつに ぶらさがっています
よこには きいろいドアがありました
「そら ここだよ」
チーターは ゴロゴロと のどをならしました
コーリーが あわてておりると
「ありがとう」と いうまもなく
そらいろのチーターは すまして くものなかに はいりました
しっぽだけが そとにのこりました
    
そこは しーんとしていました
コーリーは めをパチクリして まわりをみまわしました
それから きいろいドアを そーっと あけてみました・・・
すると・・・
そこには みかづきおつきさんがいて
すやすやと ねむっていました
さっきのおつきさんと ちがうのは・・・
ほら はんたいをむいています
そして おつきさんのとんがりには
ちいさなきんいろの しっぽが むすんでありました・・・
コーリーは そーっと ドアをしめました
   
コーリーは よびりんをひきました
「おすきなしっぽを どうぞ!」
コーリーは もういちど よーく かんがえました
こんどは さきがふさふさの オレンジいろのしっぽが
いいようなきがしました
そのしっぽのさきには すずがついていました
コーリーは オレンジいろのしっぽを そっと ひっぱりました・・・

ランラララランと、おとがして
オレンジいろの ロバが くものなかから あらわれました
「えらんでくれて うれしいよ」と ロバはいいました
「うん すずが きにいったんだ」
「せなかにのってみてよ」
コーリーが ロバのせなかにのると
「どこへいく?」
「うん もとのところへ もどりたいんだ」
ロバは きいろいドアを あけませんでした
ゆっくりと コーリーがきたみちを ひきかえしはじめました
ロバが ひとあしすすむたびに
しっぽの すずが リロリロリンと おとをたてました
ほしは おっとりと またたいています
なんだか わらっているようでした

たっぷりじかんをかけて ロバは あかいドアのまえに たどりつきました
「さあ ついたね」
「ありがとう」
コーリーは ゆっくり ロバのせなかから おりました
ロバは しっぽのすずを リリリンと ならして
くものなかへ はいりました
もちろん しっぽだけは そとにのこりました

コーリーは 「さあ これで もとどおりだ」と いって
ふふうーっ と おおきく いきをはきました
おつきさんのはしごは まだ ちゃんと そこにありました
コーリーは しっかりと あしをふみしめながら
はしごを おりました

「おかえり コリコリ コーリー」と おつきさん
「だれかに あえたかな?」
「うん あえたよ」
「はしごをのぼったからさ もちろん」
コーリーは うれしくなって コソッとわらいました
おつきさんは ちいさなあかいはこを とりだしました
「さあ これは きみのだよ
いえへかえったら あけていいよ」
「ありがとう! きょう ぼくの おたんじょうびなんだ」
「しっているさ もちろん」
コーリーは すっかりうれしくなって こえをたてて わらいました

ながーい しっぽを スルルン ルンと したまでおりると
コーリーは まどから おへやへはいりました
それから あかいこばこを あけたんです
なかから でてきたのは・・・
ななつのいろの ななほんのひもを たばねた
ちいさなしっぽでした
ところどころ きいろいリボンが むすんでありました
コーリーは もう すっかりうれしくなって クスクスわらいました
「ぼくの しっぽだ」
コーリーは そーっと しっぽを はこにしまって まくらもとにおきました

まどのそとに ながーい しっぽが
するすると そらへ あがっていくのが みえました








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2012年1月

2012/02/01 07:44

初雀二羽並びおり羽子板の鳴る

氷水子の靴鳴って冬のバラ

冬の月歩めば梢を降りてゆき

双眼鏡のぞく夕焼け冬木立

冬りんご子のゆめ深く門の鳴る

牡蠣の夢日向はんぶん残りおり

水中にイルカ見失い冬の海

夕時雨雪に変わって編みあがる




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2011年12月

2011/12/31 22:31

大根の葉はあおあおと風呂の歌

ポトフ煮る火に歌声を合わせおり

蜜柑の木ゆれて抜けゆく月を追い

寒つばき月に鏡を借りており

そり遊びおわって満月門に入る

子の歌に茎ひろげおり聖夜の蘭

吊り橋は星つらぬいて冬の旅

オリオンは消えゆく月の弦眺め




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2011年11月

2011/12/01 09:38

萩ゆれてテラスを借りる眠り猫

焼き林檎オーブンの中サガン読む

老いの手に照る柿そっと包みおり

大根の土の下ゆく水の音




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ミーナのいちごジャム

2011/11/11 17:32
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おや? こねこのミーナがやってきました
けのしろい こねこちゃんです
なにか おはなしをしたいようす・・・・・

さっき ママが たくさんのまっかないちごをかって
おかいものから かえってきたの
「さあ ミーナ、いちごジャムをつくりましょう」
ママは おなべに たくさんのいちごを パランコロンといれて
たっぷりのおさとうを サラサササランとふりかけました
ひにかけると おなべのふたが
カタコトカタリ カタコトカッタン とおとをたてて
いいにおいが へやじゅうにただよいました
「ねえ ママ、まだ できないの?」
ミーナは ジャムがにえるまでのあいだに うたをうたいました
ぞうさんのうた おはなのうた にじのうた ジャムのうたも
もう うたをおもいつかなくなったとき
ママが「ほーら! ミーナ、ジャムがにえたわ」
ママは トロトロのあかいジャムを
たくさんのかわいいびんに つめました
「あしたのあさまで おいておきましょう
つまみぐいは いけませんよ」

そのよる ベッドのなかで ミーナは じぶんにはなしかけました
「ねえ ミーナ、あしたになったら
おいしいいちごジャムが たべられるのよ」
ミーナは いちごジャムをたべるのを そうぞうしながら ねむったの

まよなかになったころ きゅうに めがさめました
まどが コトコト コトリ となるおとがして
カーテンのむこうに なにか いるようなきがします
「どうしよう なにかが こっちへきたら・・・・・」
そのとき・・・・・いちごジャムのことを おもいだしました
「いちごジャムを ひとくちでいいから たべたいな」
ミーナは ジャムのびんを おもいうかべました
「ひとくち おあじみするだけなら・・・・・」
ミーナは ベッドから おきあがりました
カーテンのほうを みないようにして
「ちょっとだけ おあじみしよう」
ミーナは かいだんを そろりそろりとおりて
だいどころへ いきました
うしろから なにかが ついてくるようなきがします
せのびをして でんきのスイッチをつけると
パッと あかるくなりました

テーブルに いちごジャムのびんが ならんでいます
ミーナは 1つ てにとって びんのふたを あけようとしました
でも かたくて だめでした
ふとみると ジャムのおなべがありました
おなべには まだちょっとだけ いちごジャムが くっついていたんです!
ミーナは ゆびで ジャムをすくって ひとなめしました
トロトロとけてしまいそうなほど あまかったわ!
「もうちょっと おあじみしよう」
ミーナは おなべがピカピカになるまで ジャムをすくいました
まだ たりなくて したでなめました
さいごは おなべを あたまにかぶって なめました!
「ああ おいしい! もっとたくさん あったらいいのに!」

そのとき 「ミーナちゃん ミーナちゃん」と、こえがしました
ミーナは どきんとして おなべを おとしました
ガラン と、おおきなおとがしました
なにかが おいかけてきたのかしら?)
でも それは ちいさな そらいろのねずみでした
しっぽのさきに きいろいリボンをむすんでいます
「ぼくにも ジャムを ちょうだいよ」
ミーナは ほっとして おおきなためいきをつきました
「ええっと ごめんね
いま ちょうど ぜんぶなめてしまったの」
「それなら べつのものでも かまわないよ」
「べつのものって・・・・・?」
「うん、たとえば チーズのかたまりとかね」
「ちょっと まって」
ミーナは れいぞうこのまえに いすをおいてドアをあけました
おくのほうに つかいかけのチーズがみつかりました
「ちょうどいいのが あったけど・・・・・これで たりるかしら?」
ねずみは ひげを ぴくぴくさせて てをタタタとうちました
「こりゃ ごちそうだぞ!」
ねずみは うれしそうに チーズをクンクンかいでから たべはじめました

「チーズが ごちそうなの?」と、ミーナがきくと
「ジャムより ごちそうだよ」
「ねずみさん どうして そらいろなの?」
「ミーナちゃん どうして まっしろなのかな?」
「おへやのまどが コトコト コトリって、いうの
カーテンのうらに なにかいるみたいなの」
「きっと かぜだよ、こわくなんかないさ」
ほんとうかしら?と、ミーナは おもいました
そのとき ボーン! ボーン! ボーン!と、おおきなおとがしました
とけいが よなかの3じを つげたんだわ
「わぁ! たいへん! はやくベッドにもどらなくっちゃ!」
ミーナは あわてて おにかいへ かけあがりました
ねずみは まだ チーズをたべていましたけれど

ベッドにはいると ミーナは ドキドキドキドキして
ちっとも ねむれませんでした
ねむろうとしても いちごジャムと チーズと
そらいろのねずみと なにかのことばかり うかんでくるの
でも とけいが ボーン!と、4かいなったころには
ようやく ねむることができたみたい

つぎのあさ ママが「ミーナ、あさごはんよ」
と、いいにきてくれるまで ぐっすりねむっていたの
テーブルに パンと いちごジャムと こうちゃが のっていて
パパとママが まっていました
「おはよう、ミーナ」と、ママ
「おはよう、パパ、ママ」
ミーナは ドキドキしました
ジャムとチーズのこと ママとパパに ばれちゃったらどうしよう
このあいだ もらった ことりのえほん とりあげられちゃうかもしれない
それとも うすぐらいものおきべやに とじこめられちゃうかも
そうーっと パパとママのかおを みたけれど
パパは ねっしんに しんぶんをよんでいるし
ママは はなうたをうたいながら パンをきりわけています
ママは おなべが ピカピカになっていることにも
チーズがなくなっていることにも
ぜんぜん きがついていないみたい

ミーナは いちごジャムを パンからこぼれるくらい
たっぷりぬって たべました
ママのいちごジャムは ほんとうに あまくておいしい

でも そのあと かおをあらうのを わすれていたのにきがつきました
せんめんじょにいったら ミーナ、あわてちゃった
かがみにうつった ミーナのかおは
はなのあたまと おひげが まっかっかだったの
おなべをなめたときに ジャムがついたんだわ
でも ママになんにもいわれなくて よかった!

おひるに ママが おかいものにいったら
また ジャムをなめようかな
ひるまなら なにかも おいかけてこないとおもうし・・・・・
そらいろのねずみさんに あえるかも
こんどこそ ジャムのふたが あくといいんだけど






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2011年10月

2011/11/01 10:14

ねこ跳んで金木犀散る星月夜

蜂蜜に溶けるカリンの重みあり

花ほととぎすビロードを着るシャムの猫

雪洞の光は紅くザクロの実

柿の木をキツツキ叩き時計鳴る

チロリアンランプの振れる窓の音

亡きひとの庭にかろやか花ホトトギス





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2011年9月

2011/09/30 14:07

台風に蔦からまって蛇を打つ

チョウの声聞こえて醒める岸の萩

ウロコ雲朱鷺の夕陽に吸いこまれ




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名月

2011/09/14 16:53

十五夜に歌うたいゆく杖の音

木の間月くもを逃れて跳んでゆく

十六夜の宇宙の穴に嵌まりおり

名月の穴のあくまで窓を射す

十五夜の天のアリーナ飛んでゆく



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2011年8月

2011/09/01 08:39

星空にドラゴンフルーツ貰い来る

白粉花の紅さす宵に汗を拭く

門灯にサルスベリ落ちて靴の音

水琴窟の半音あがる黒揚羽

カマキリの飛んでどこ向く牛の顔

雌鳩のこちらをのぞく白団扇




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Gaspard et Lisa au restaurant(リサとガスパールのレストラン:改訳版)

2011/08/22 20:59
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Gaspard et Lisa au restaurant ANNE GUTMAN / GEORG HALLENSLEBEN

『リサとガスパールのレストラン』   (アン・グットマン と ゲオルグ・ハレンスレーベン)



ファンションおばさんのおうちへ とまりにきたときには
レモンさんのおみせへいくのが おたのしみ
でも ガスパールったら なんにもしらないんです
「レモンさんのおみせは レストランなの
おしょくじしながら おえかきもできるのよ!」

パパを いっしょうけんめい せっとくして
やっと つれていってもらいました
おみせにいくとちゅう ウエイトレスのまねをして ちゅうもんをとったの
ビクトリアは おーきなハンバーガー
ガスパールは フライドポテトとピザ
いとこのマロには おおもりのスパゲッティー
ああ はやく たべたいなー

レストランにはいると・・・
おや? かべのえが みーんなかわってる・・・
テーブルといすも かわっているみたいだし・・・
あっ レモンさんまで かわってる!

「おやまあ このおみせ かわったのね」
ファンションおばさんが ささやきました
なーんだ がっかり!
でもね メニューをみて もっと がっかりしちゃったの
おさかなしかないんだもの

マロは 「おさかなは ほねがあるから いらないよー」
ガスパールは しんけんにかんがえました
でも やっときまったら おみせのひとが 「ほんじつは しなぎれです」
わたしとビクトリアは なんかもう おなかがすいてないみたい

ウエイターさんがはこんできた おりょうりは
おやさいばっかりで フライドポテトなんてどこにもありません!

そのうえ おとなたちが なにをたのんだとおもいますか?
なんと うみのさちです!
レモンのかおりの かわいいおてふきを もらえたけれど
たべるのに ものすごーく じかんがかかるんです
はやく かいがんに あそびにいきたくなっちゃった

わたしたちは とっくにたべおわったのに
おとなたちは まだ たべています
それで ちょっといたずらしていたら
「あなたたち、すいそうをみてきたら?」って ファンションおばさん
あれ? どうしよう
いすのしたにぬいでいた ながぐつがかたほう どーしてもみつかりません

ガスパールといっしょに さがしにいくことにしました・・・
なんだか とってもおかしいんです
テーブルのしたでは あしでけられないように
すごーく きをつけなければいけません

ずーっと テーブルのしたを もぐっていったら
おみせの はじっこまで きてしまいました
そのとき わたし すごーくいいこと おもいついちゃった・・・
「あのね おしおのビンのふたを はずしちゃうでしょ・・・
だれかが しらないで ちょっとだけ おしおを ふりかけようとするでしょ・・・
そうしたら おしおは おさらに ドサッ!
おもしろいとおもわない?」

「ねえ ガスパール やってみてよ」
ところが ガスパールが てをのばしたら・・・

マスタードのビンが たおれちゃった
わぁ どうしよう!
そこらじゅう ベトベト
きっと パパとママは カンカンにおこるわ
それに もちろん レモンさんも・・・

あわてて ナプキンで ごしごしこすったら・・・
マスタードは ますます ひろがるばかり

こんどは おさらを すこうし ずらしてみました
うまいぐあいに しみがかくれました
それから こっそり せきにもどったんです・・・

もどってみると マロとビクトリアが すいそうのむこうから
へんなかおをして リラを びっくりさせていました
パパは わたしのながぐつをもって ものすごーく おこっていました

「あなたたち ざんねんだったわね」
と ファンションおばさん

「いないあいだに デザートを ちゅうもんしておきましたよ!」
デザートは まえのレモンさんのおみせのより ずーっと すてきだった
アイスクリームのグラスには ピエロがさしてあったんだけど
ほんもののキャンディーも 2ほんも ついていたの!
デザートは あっというまに たべおわってしまいました
パパとママとファンションおばさんは まーだ
うみのさちを たべていましたけれど・・・

わたし やっぱり レモンさんのおみせが だいすき
でも このつぎ いくときには もっと ようじんしなくちゃ・・・
そうすれば きっと おしおのふたを はずせるわ!






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2011年7月

2011/07/31 15:08

ホウセンカ三羽の蝶のリズムとり

あさがおの夢より離れる黒揚羽

雷雨あり真昼の灯下にカフカ読む

まな板をナスころがって雷音

三才のレモン描けば桃の色

窓辺にて猫動かず合歓の花





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ミュウミュウのサーカス (改訂版)

2011/07/20 09:37

これは へびのミュウミュウです
にちようびのごご まちのひろばに
あおときいろの おおきなテントが たちました
「サーカスだ!」
こどもたちが さけびながら はしっていきます
おとなたちも こぞってでかけました
「サーカスって なにかしら?」
ミュウミュウも みんなのあとからついていきました

いりぐちに ピエロが たっていますね
「きょうの だしものは てんかいっぴん!」
みんな ピエロに きっぷを わたしています
ミュウミュウは なにももっていなかったので
すみっこから そろりと なかにはいりました
おおきなぶたいが ありました
てんじょうは なんて たかいんでしょう
「さあさあ サーカスのはじまりぃ!」
くちひげの だんちょうが
おおごえを はりあげました

ピエロが でてきて クシャミをすると
ぼうしから ハトがとびだします
みんなは おおわらい
いちれつになって でてきた いぬたちは いちりんしゃをこいでいます
ぞうは だいにのって あとあしでたちあがり
くまは フラフープのダンスをしました
ライオンは ひのわのなかを とびぬけます
なんて たのしそうなんでしょう!

ミュウミュウは
「ぼくにだって なにかできそうだぞ」と おもいました
アシカが ボールのげいを はじめたとき
ミュウミュウは そうっと いすをはなれて・・・・・
ぶたいに ひょいと あがりました
そして スルリと あたまをのばすと・・・・・
アシカのボールを よこどりしました

それから・・・・・
ミュウミュウは いろんなかっこうをしながら
ボールを クルクルポンポンあやつります

ほねなしにんげんが でてきて
からだを ぐにゃぐにゃに まげましたけれど・・・・・
そんなことなら ミュウミュウのほうが もっと とくい
・・・・・ほらね


画像



テントのなかは だいかっさい
「いいぞ いいぞ!」
だんちょうは カンカンです
「なんだ なんだ かってに ぶたいにあがったりして!
さっさと おりた おりた!」

でも ちょうど そのとき つなわたりが はじまったんです
ミュウミュウは はしごをのぼって・・・・・
のっぽさんのまねをして
つなを はしからはしまで
じょうずに わたりました
「うまいぞ うまいぞ!」
おきゃくさんは おおよろこび
だんちょうは じだんだふんで したのほうから
ステッキを ふりまわしていますけれど・・・・・

「サーカスのはながた くうちゅうブランコのりぃ!」
の こえとともに ブランコのりが とうじょうしました
ミュウミュウが ブランコになって いったり きたりしますと
ブランコのりが ひょいひょいと いきもぴったり
とんだり ぶらさがったり ちゅうがえりしたり
「すばらしいぞ すばらしいぞ!」
げいが おわって ミュウミュウと ブランコのりが
はしごを おりてくると
だんちょうは まっかになって
「けしからん けしからん!
サーカスが だいなしだ!」

そのとき カーテンのうしろから
あかいさんかくぼうの おんなのこが
ひょいと かおをだしました
「だんちょうさん へびくんは だれよりも じょうずだったわ」
おきゃくさんたちは わっとばかりに だいかっさい
だんちょうは ぼうしを おおきくひとまわし
ふかぶかと おじぎをしました
「へびくんの とくべつショーを ごらんいただきまして
きょうのサーカスは おしまいでござい!」

はくしゅのあらしのなかを ミュウミュウは
じぶんのいすに もどってきました
となりのおとこのこは おなかをかかえて
おおわらい
「やあ へびくん
きみときたら まるで うちゅうじんみたいだったよ!」










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しろばらとおとこのこ

2011/07/17 09:44

まっさおなかべの うつくしい いえが ありました
にわのかたすみに しろいばらが ひっそりと さいていました
ほかのばらや もっとちいさなはなは みんな
おひさまのさす あかるいところに いましたけれど
ここは こかげの うすぐらい すみっこです
いえのひとたちが はなしているのが きこえてきます
「すみれが きれいにさいたね」
「すずらんのはなが もう さくわ
リンリンっておとが きこえてきそうじゃない?」
とおりがかりのひとたちも
「みてごらん このクロッカス、まるで リスのかんむりね」

いちばん うつくしいはなは
いえのひとが はさみできって へやへのなかへもっていくのです
それは はなにとって とても めいよなことでした
「さようなら みんな
わたしは これから いえのなかへはいるんですよ」
きられた はなは いたみをこらえて
ほこらしげに いうのです
でも しろいばらは めだたないところに いましたから
だれにも すがたをみてもらえません

あるひ いえのドアが コトリとひらいて
ちいさなおとこのこが にわへでてきました
スキップしながら いしだたみを たどってくると
しろいばらのいるかたすみに がさがさと もぐりこんできました
あやうく ばらとおとこのこは ぶつかるところでした
おとこのこは きょとんとして クスクスわらいました
それから てにもっていた ひいらぎのあおいみを じめんにならべて
ピチパチと はじいて あそびはじめました
うたをうたうと かぜがカラコロいうようでした
やがて ひいらぎのみを のこしたまま
また おとこのこは がさごそと きのしたをくぐって かえっていきました

おとこのこは つぎのひも またつぎのひも まいにちあそびにきました
あるひ ばらは おもいきって はなしかけました
「このばしょが すきなの?」
おとこのこは びっくりしたように ばらをみつめて
でも なんでもないように こたえました
「だれも こないから」
「わたしは だれもこなくて さびしいわ」
「それなら こんど ママをつれてきてあげる」
ばらは ぱっと あかくなって にっこりしました

おとこのこは ほんとうに ママをつれてきました
ママは しろいばらをみて
「あら こんなところに おさとうがしのようにしろい ばらが」
いそいで いえへかえると
はさみをもって もどってきました
パチン!
たちまち しろいばらは きりとられました
「あっ」と ばらは ちいさくさけびました
どんなに いたかったでしょう
ママのてのなかで ばらは はじめて ひのあたるにわのようすを めにしました
まぶしさに くらくらしながら ばらは せいいっぱい あいさつしました
「ほら わたしは いえのなかへはいりますよ、みなさん さようなら」
「あら あんなばらが どこにさいていたのかしら?
まるで メレンゲのようにきれいね」
あじさいが こたえました
みんな うらやましかったのです

ばらは いまのテーブルの あおいガラスのかびんに かざられました
ばらは いえのひとたちが
しょくじをしたり わらったり けんかをしたり ないたりするのを みました
パパは パソコンをつかうのがすきで
ママは よく うたをうたいました
ふたりのこどもたちは カーテンのかげにかくれたり
かごのことりと おしゃべりをしたり
クッションを たかく ほうりあげたりしました
したのこは(にわのすみに あそびにきたほうのこです)
ときどき しろいばらのまえで ほおづえをつきました
ばらは いつも へやのなかのようすを しずかに ながめていました
ひとりぼっちの くらい にわのかたすみから
いまは こんなに あかるいへやへ やってきたのでした
にわのみんなが うらやましがるところへ

あるひ ばらは すこし つかれたきがしました
つぎのひ はなびらが1まい ハタリ とおちました
ばらは かれはじめたのです
2まいめのはなびらが おちたとき
ばらは きをうしなうかとおもいました

そのときでした
ママが かびんをとって キッチンへいくと
ながしに ザァーッと みずをすてました
それから まどをあけて ばらを うらにわにほうったのです
ライラックの きのそばに ばらは おちました
そこには いろいろなものが すてられていました
キャベツのしんや りんごのかわ われたきぎれなんかです
ふるくなったシャベルや さびたバケツまで ありました
「ああ わたしは こんなところで しぬんだわ!」
ライラックが こたえました
「わるくはないさ
いろんなものが ここで しんでいったよ!」
ばらは ほろほろと なみだをこぼしました
「ねがいがかなうなら うまれたばしょに もどりたい!」

おひさまが にしにかたむきかけたころ
あのおとこのこが うらにわへやってきました
おとこのこは せのびをすると
むらさきいろの ライラックのはなびらを たくさんつんで
ポケットにつめこみました
それから しろいばらをみつけると かがんで じぃっと みつめました
「おねがい あのなつかしい こかげへ つれていって!」
ばらは ありったけのこえで さけびました

おとこのこは ばらを あのかたすみへ つれていきました
そこは すずしくて いいにおいがしました
おとこのこは ばらを じめんにそうっと おくと
かぜのように カラコロと うたいながら
ライラックを ばらのうえに こんもりと ふりかけました
それから、きのしたをくぐって いえのなかへ かえっていきました

しろいばらは おもわず にっこりしました
ライラックのはなびらは まったく かおりのいい はねぶとんのようでした!
ばらは ほっと いきをつきました
「これなら ゆっくりねむれそう」
それから そうっと めをつぶりました
オレンジいろの おおきなおひさまが
ちへいせんのむこうに しずんでいくのが みえたきがしました・・・・・










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2011年6月

2011/07/15 14:48

猫の目のひゅうと宇宙を飛び回る

古代魚の宇宙船に変異する

明けの星猫いそぎゆくリラの花

むらさきのドライフラワー眠りおり

天使には黄色の絵皿をあげましょう





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2011年5月

2011/06/01 16:06

隣家よりピアノの音の若さかな

嵐去ってテラスの花に雫あり

ガラス瓶につつじの枝の潔さ

絵の下に甘夏置かれて静かなり

部屋の隅にほどかれし絵本のパッケージ

眠る部屋に青き椅子おかれ

物置の部屋に朝の光あり

空豆やアクリル絵具のあおさかな






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